地に慈しみを・・・。

異端者の交差路　　より

上記文抜粋
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表現や教養と競争心


俺は、昔から人それぞれの表現に関して、競争心やマウンティングを出してくる相手というのが大嫌いだ。俺をそんなつまらないものに巻き込むな、と感じる。
だが、こうしたテーマは、表現と嫉妬心がどのように絡み合っているか、順に解き明かしていくしか根っこのなかなか見えて来ない話だったりする。
だから、一度筋を追って書いてみようと思う。

例えば、だ。
六本木にはいろんな文化的催しや趣向も集まってくるが、特にそれが金の力のごり押しでかき集められて来る感があるから、それが鼻に付く人もいるのだろう。
個人的には「そんなものか」と割り切って現実を眺めているので、特に六本木が嫌いだなどとは感じないが、「経済と文化レベルの狭間にあるジレンマ」みたいなものを感じる時に、六本木みたいな街が不愉快に感じる人も出てくるのかも知れない。
金満な空気の街は落ち着かない、という人が大勢いるのもおかしくはない。そこには経済格差とその背景にある社会構造の不平等、という問題も絡んでくる。

e0296801_14493910.jpgただ、アート志向なクリエイター系の人など、自分の上昇志向の裏返しで、極端にそういう金満な世界やファッション業界、特定の飲食店など、その人が何かしらのコンプレックスを抱く対象に露骨な嫉妬心や憎悪を募らせる人もいて、それはそれで面倒なエゴを感じ取る時はある。
「俺様は特別凄い事をやってんだぞ」的な自負心の強い人は、やはりそこに競争意識があるから、他を無駄に見下している場合が少なくなくて、そういうのが一番ゲスで、文化度の低い振る舞いだ、と俺的には感じるんだな。

毎日の生活に追われる庶民は、たとえ様々な表現に関心があったとしてもそんな事に注目していられる経済的余裕も時間もない。
なので、多種多様な表現なりアート作品なりある中で、一人二人の特殊な事をやっているアートな活動や作家に目を向けるのも、容易ではない。生活に余裕がないと、せいぜいが自分が携わっている分野に近いところ限定になる。
そういう周囲にまで、自分の競争心から発する優劣意識を振りまいて、有毒物質みたいになっているクリエイター系の人間て、困った事に結構いる。

あれだ、大学なんて行ってもいない人間には、早稲田か慶応かの、大学同士の文化の優劣を競い合う意地の張り合いみたいな話もどうでもいい訳だ。
それ以前に、そんなところで相手を馬鹿にしている人は、多分言葉にしないだけで大学に行っていない人間はもっと格下に思っているに違いない、と感じたりね。
ウザいだろ。それと同じ話だ。

苦学してでもなんとか大学に行けた人は、貧困に喘ぎつつも高い芸術的感性を身に付けられた人は、だからボクちゃん偉いんだ、じゃねえんだよ。それだけでもラッキーであって、それを得られない人を見下すなど見当違いも甚だしい。
高い学識を得ても、高度な技術や感性を育んでも、それを扱う人の精神が卑しかったら、全て台無しだと思う。
表現の機会や、自身の感受性を広げる体験は、決して誰にでも平等に訪れるのではない。
だからこそ、そこで競争心を出して、変な格付け意識を生んでいたら余計に不毛ではないか。

文化や教養は、俺様の方が凄いんだ、賢いんだ、と競い合うためにあるのではない。それを楽しみ、心を豊かにし、人生を喜びに満ちたものにするためにあるんだろ？
金やお姉ちゃんゲットするためにやってんだ、って奴には文句言わねえよ。ただ、人様に迷惑掛けるなよな。

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抜粋終わり


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